今日はだいぶマニアックなテーマです。
仙腸関節という関節をご存知でしょうか?
最近は腰痛や下半身の問題に大きな影響を持っていると注目を浴びるようになっている骨盤の関節です。
我々カイロプラクターや整体師の間では昔から仙腸関節は可動関節でだから歪むという見識で一致しています。
が、長らく西洋医学界では仙腸関節は不動関節であるという説が定説でした。
結論から言うとこの仙腸関節が不動関節であるという定説は覆りつつあるようです。
最近は科学の進歩もあり、かなり精密に動きの検査ができるようになり仙腸関節が動きがあることが確認されてきたようですね。
(出典1、立ち上がり動作における体表マーカーを用いた仙腸関節運動計測方法の検討 石井 美和子 山本 澄子)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/35/5/35_729/_pdf
今日はね、なんでこの仙腸関節が不動関節論と可動関節論で分かれていたかの考察を書いて行きたいと思います。
①英米と欧州での仙腸関節への見解の相違
②見解の相違が生まれた背景
③カイロプラクターの見解
①英米と欧州での仙腸関節への見解の相違
実は仙腸関節が可動関節か不動関節かの意見の相違を辿っていくと、解剖学の源流がイギリスなどにあるか、もしくはヨーロッパにあるかになってきます。
イギリスでは19世紀以降ホルマリン固定された検体を用いて解剖をしていたようなので、死後硬直で仙腸関節も可動性を失っていたようです。
それに対してオランダやドイツなどヨーロッパ大陸では17〜19世紀にすでに仙腸関節が間接砲をもつ滑膜関節として微細な可動性を発見していたようです。
しかし、19世紀以降西洋医学の国際的な標準化でイギリスや北米が確立した解剖学が世界中で採用されたことで西洋医学界では仙腸関節は不動であるという学説が定着していったと言う流れのようです。
②見解の相違が生まれた背景
同じ人間を解剖してこのような違いが生まれるのはなぜでしょう?
それは解剖に用いていた検体の状態によったのではないかと私は考えています。
先ほど書いたようにイギリスではホルマリン固定した検体を用いたことから、強固な靭帯で固定されていて動かないと言う説が生まれますが、
ヨーロッパではフレッシュフローズンという比較的死後硬直が起きにくい方法で検体を保存して解剖しているため、靭帯などの柔軟性が保持されて仙腸関節などの微細な動きの関節の動きがわかったようです。
③カイロプラクターの見解
カイロプラクターとしては、骨盤矯正をするときは、必ず仙腸関節の動きを触診して動きの悪い関節を矯正して行きます。
この仙腸関節の動きはかなり小さいものなので、触る場所や触り方をしっかりとトレーニングしなければ触知できません。
が、トレーニングさえしっかりとしていれば仙腸関節の動きは確実にわかるので、昔からカイロプラクターは仙腸関節が動いていることは知っていました。
結論
という感じの流れで17世紀〜19世紀のヨーロッパではすでに仙腸関節が可動関節だということを発見していた研究者がいたようですが、19世紀頃から、英米を中心とした仙腸関節が不動関節であるという学派の主張が主流になったことで「仙腸関節は不動関節論」が定着してきたようです。
生きた人間の動きを精密に図る方法が発達したり、それこそ死後硬直した検体で軟部組織のことを調べるのは無理があるという考えが主流になってきたことから、仙腸関節の可動性が再発見されたというのが最近の流れのようですね。
我々骨盤矯正を生業にしている人間からするととても興味深いテーマですが、今日はだいぶマニアックな内容でしたね。
それでは〜
執筆者:佐藤正亮
辻堂の整体サロンRELEASE オーナー兼院長。
整体師歴24年、のべ6万人以上の施術実績を持つ。
独自の整体理論「コアファンクショナルメソッド」を開発し、湘南から横浜、県外にかけて多くの症状改善に貢献してきた。
セミナー講師としての登壇や、整体師向け育成プログラムの開発にも携わり、姿勢とバイオメカニクスに基づく根本改善メソッドを伝え続けている。



